歪んだ愛が交差するラブストーリー
漫画でこの作品を知り、原作も読ませていただきました。 原作、漫画共にまだ三回しか読み直していないので解釈違いなどあったらすみません。 タイトルにも書いた通り『歪んだ愛』という言葉がぴったりな作品だと思いました。 最初に読んだときに感じたこたろーの言葉の違和感、刺々しさが二周目で刺さる刺さる。 特に、漫画の上巻、原作の19話までの部分とそれ以降の部分でコタローへの印象ががらりと変わりました。 最初は尽くす愛を持つ薄幸少年という様相だったのが二周、三周とするごとに言葉の刺々しさや愛想笑い、話の合わせ方などが目立ち、次第に自己中心的な愛をもつ青年へと変貌していく感覚はとても楽しかったです。 一見すると「恋愛相手にに依存する千紗ちゃん」と「恋愛に依存するこたろー」のようにも見えますが、本質は「恋愛する自分に依存している千紗ちゃん」と「千紗ちゃんに依存するこたろー」の様にも受け取ることができます。 一方で栗崎さんはというと彼女も五十嵐君と千紗ちゃんの関係を利用したり、傷心のこたろーに付け込もうとしたりなど黒い部分がちらほらと見え隠れしていて、彼女は決して救いにはならないということを感じさせられました。もっとも、こたろーが傷心ではなかったので彼女の思惑は外れたようでしたが。 それに対し萩原は周りの心配もしつつ引き時をしっかり弁えている好青年でした。 それぞれの愛を利用しあうこたろー、千紗ちゃん、栗崎さん、五十嵐くんの四人の関係が緻密に書かれていて読み返すごとに楽しさが増す作品でした。 ただ、一つ難点を上げさせてもらうとすればこたろー以外のキャラクターが薄いということでしょうか。 話の語り方故にあまりこたろー以外の話を入れられないのはわかりますが、栗崎さん、五十嵐くんのキャラクターが薄かったので、どうしても噛ませというか安っぽさが目立ってしまったかなと思います。 メインヒロインであるはずの千紗ちゃんですら少々描写不足を感じたので、蒸気の二人に関してはかなり薄さを感じました。 徐々に変わっていく心理描写や話のオチのつけ方、文体的にとても高い能力を持っていらっしゃると思うので他の作品も読ませていただきたいと思います。 長々と書いてしまいましたが書き方、内容ともに絶賛の作品でした。 とても面白い作品を生み出し、出会わせていただきありがとうございました。
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はじめまして。ご感想ありがとうございます! 漫画で知ってくださったのですね…!うれしいです! 三回も読んでくださったのですか……しかも原作まで……(泣) 本当に本当にありがとうございます。うれしすぎます。 そして三周したうえでの鋭く深いご感想、ドキドキしながら拝読しました。 こたろーの印象をガラリと変えられたなら、作者としてはもう万々歳です。 また、序盤からチラホラと散りばめていたつもりだったこたろーの違和感に気づいていただけてうれしいです! >「恋愛する自分に依存している千紗ちゃん」と「千紗ちゃんに依存するこたろー」 これ、すごく頷いてしまうお言葉でした……鋭い…… メインヒロイン
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