小説より・・ https://estar.jp/novels/25803181/ 祈りの輪 祈りの輪に入れぬ者 そうして、その夜半に仮の宿になる屋敷で 彼等、聖ヨハネ騎士団の騎士達は 祈りを神に捧げていた。 聖句に 神に捧げる祈りの聖唱 それは紡がれて来たもの 魂に響き渡る歌声が 響き、ゆっくりと詠唱の歌声が静まりゆく  紡がれた救いへの祈り 天国の門への道に・・ 時に狂おしく、残酷な現実の中 誰しもが高みにある天国の門に…無事に到達することを望む。 修道僧である彼等の職務は、騎士としての役割だけでない…‥ 修道僧としての祈り 特別な目的と任務で課せられた施政院、病院での奉仕、医療活動  人々の救いの為に ザアアア‥雨の音‥マルタ島の地で岩肌を打つ雨音 すぐ傍で、建物の外で 降り始めた冷たい夜の雨に打たれながら 祈りの輪に入る事が 許されない者が悲哀の表情、静かなる諦観に満ちた表情をさせながら、聞いている。 漆黒の闇色の髪が雨に濡れている。 この時、哀しい見捨てられた 子供のような瞳をした者、彼は雨よけのフードも着ずに 人よりも長い時を生きてきた 青い瞳、少年の姿の吟遊詩人、今では人ではない魔物が……
1件

この投稿に対するコメントはありません