"モノクロワールド" じゃない、 "モノクロ+ワールド"
①着眼点が秀逸  『最後に色が見える』という始まり方、普通ならここでどんな色が見えるのか?といった世界をイメージしてしまうのですが、なんとまさか、ほとんどの人類が色盲とは恐れ入りました。また、其処以外をあまり弄らないのもグッドだと思います。離れすぎると世界観の説明も理解も大変になってしまいますので。 ②時間の経過の書き方  時間が経ったという描写を行う際に、口調をくだけさせるという手法をとっていました。月日が経ったと書かれるよりも面白いし、『あ、仲良くなったんだな』とすぐにわかりました。 ③加速する描写  意識してか、無意識なのかはわかりかねますが、後半、ラストにかけて描写がどんどんコンパクトに、狭く、急速になって言ってます。最後の方はほとんど会話文で、あとはごくわずかな、顔や目に映るもののみの情景描写にとどまっていました。樹とるいのお別れが近づくのが見えずともひしひしと伝わってきました。 ④藤野  いい味出してます。主人公とどうか、といった関係に終始してしまい、人物関係がまるで箒のようになってしまう事態は、この作品を読んでいて一度も危惧することはありませんでした。樹とるいの間で少々いびつな三角形を作り続けた彼の功績は、まさしく助演男優賞でしょう。 まとめ  片方病気で最後死ぬ悲恋話なんて腐るほどあります。だからこそ新鮮さや個性を出すのは非常に大変で、それこそ興味のない人が聞いたクラシックのごとくみんな一緒に聞こえてきます。そんな中今作は、初手から大半色盲とかいうトンデモ設定をぶち込み、しかもソレをあくまでも "味" として使いこなしていました。これは本当にすごいことだと思います。色に関する様々な設定(死ぬ間際の再生や臨死体験との連動制など)も面白みがありました。  終盤、畳みかけるような、どんどんと悲しいゴールの一転へと収束していくラストの展開に、ページをめくる手が止まりませんでした。逃げようのない、というか何なら一ページめで書いているその悲しい結末。わかり切ってい入るんだけども、何故か最後まで読んでみたくなってしまう。ケド決して救いがないわけではない……  いい意味でここまですんなりと読めた作品は初めてです。読ませて頂いてありがとうございました。
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眠子千世様 こんなに丁寧な、しかも凄く読み込んでくださった感想いただきありがとうございます!話し方で時間経過に気付いていただけたの嬉しいです✨そして藤野は書いてるうちにお気に入りキャラになっていました✨ 甘口依頼しておきながらアレですが、いただいたお言葉を拝読し、喜びでちょっと泣きそうです。 心から感謝いたします✨
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こちらこそありがとうございます。そう言っていただけて何よりです。これからも頑張ってください!
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