みか

いつもとは異なる書き方で!
ホラー映画よろしく、不気味な感覚に支配されながらも進み、そして終わる作品。 ここでは、最後に主人公が嘔吐した点に注目したい。 この嘔吐は胃の中のものを吐き出しただけなのだと、安易にとらえてはならない。 嘔吐を催すとは、吐き気がするとともに「はなはだしく不快に感じる」という意味なのだから。 これは「牢屋へ放り込まれた者の反抗」である。 肉体という監獄、精神という牢獄につながれ、縦軸的には過去・現在・未来という幻想、横軸的には誤った自己認識を植え付けられて自己と非自己を定義するよりなかった者が、唯一可能な反逆なのである。 作品内へ現れる「鬼」は単なる悪魔・害悪なるもの、とは言い切れず、誰であってもいつかは理解してしまう「黒色でもなく、白色でもなく、灰色であるのが人生の真実である」を表現したものに他ならない。 鬼は「おん(隠)」の音変化で、隠れて見えないものの意ともされる。 作品の登場人物たちが暗に物語っている「自分たちが生まれつき背負っている、自らが選択したことへ自らが翻弄されている」という苦悩を作者は鬼として描いている。 鬼そのものは善ではなく、悪でもなく、神聖でも邪悪でもない、がしかし、畏れおおいもの、祀られなければならないもの、不可侵なるものの象徴として描かれている。 壁の内側にさまざまなお札が幾重にも塗り込まれていた、との描写は人間のちからが及ばないものをどうにかして鎮座させるため、儀式をととのえて神霊(鬼)をなぐさめ、祈願し、神としてあがめては、一定の場所に安置しておく、との悪あがきといってもよさそうな、何者かによる人情による所為であり、それ自体が主人公を悩ませ、苦しめてきた自分も含めた人間ができることの限界なのであった。 ……だから、主人公は吐いた。 心状(心のありさま・心の状態)を吐露したのである。 「…閉じ込められているから、また同じことを、こんなことを繰り返している、うんざりしているんだよ、もうっ」と。 付け加えておきたいが、洋風ではなく和風にしたところが、英断だったと思えてならない。 作者の非凡な才能は、ここに際立っている。
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うわわわわ〜!ありがとうございます!気がつくことができず。畏れ多くも凄い感想に、打ち震えました。雪かきの鬱々した気分も吹っ飛びました! みかさま💝素敵なクリスマスプレゼントになりました!ありがとうございます😊 今後ともみかさまの作品、楽しく読ませて頂きます。
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こちらこそ、ありがとうございます。 素敵な作品を読ませていただき、感謝しております。 元々、みかは上記のような文を書く者だったのです。 だから、文章の師匠に言われたんですよ。 「……みかよ、書かれたものを読み解くそなたの能力は抜群だ。…が、自分で物語を書く場合はもっと力を抜いて、書きなさい。……柔軟になれ。硬直していては、何事も続けるのは難しい。…下山しなさい、みか」って。(大笑)
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