大佐戸達也

胸のうちに隠しておきたい感情を、そっと暴かれるような展開に感嘆しました
 奥深い山中にある集落で、「わたし」はある老人からかつてこの村で起きた話を聞く。二つの旧家、それぞれの跡取り、彼らは互いを憎み合い、諍い続ける。黒山の柿をめぐって、やがて二人に訪れた物語の顛末は――。  僕にとって、とても衝撃的な物語でした。ただのスリルや緊張感とも違います。自分の心のうちに隠しておきたい悪意や卑屈さのようなものを、暴かれていく気がしました。それなのに、確かな感動もまた与えてくれる、不思議な魅力に満ちた作品でした。
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