夏月 海桜

シリーズ2作目。最強の兄弟再び参上。そんなキャッチコピーが私の頭の中に浮かび上がる程、1作目の印象が強く、そんな1作目を読了している身としては、続編を大いに期待してしまう。 稀に、続編が無ければ良作なのに……と大概失礼な事を思う作品が有ったが、本作品はその想いは無用の長物である。読んで良かった。そう思う事間違いない。 甘いだけの恋愛小説も面白いかもしれないが、本作品は甘いだけでは無く、時にスパイシー。それは、主役が悠一だから、なのだろう。だが、だからこそ、彼女への愛は見ていて微笑ましい。 また、仕事に絡む悠一の博識な知識は健在だ。細かな知識まで惜しみなく教えてくれる。成る程!そうなのか!と知識が増える事も嬉しい作品だ。 そして、それは全て作者様の知識の豊富さに繋がる。細かな知識が淀みなく、立て板に水を流すがごとく話す悠一。作者様の知識が豊富で無ければ、作品にこんなに細かく書かれない。 これを念頭に読めば、作者様の博識と、本シリーズの深さが理解出来るはずだ。 ジャンルがラブコメでしょ? 侮る事なかれ。豊富な知識を詰め込めずにパンクする可能性があるから、気をつけた方が良いと忠告する。 また、悠一だからこそ、の発言も様々にあるが、その言葉の重みや深さに頭が下がる。若くして、その言葉の意味をきちんと知り、自分の言葉にしてしまえるなど、そうそうない。おまけに、他者に自然と頭(こうべ)を垂れさせる事が出来るなど。 嫌味だ。そんなふうに思われないのは、悠一のキャラクターと作者様の腕の見せどころ。そんなところも良く読んで欲しい作品だ。
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