たりらん

レビューを書こう書こうと思いながらも書いていなかった。ようやく書かせてもらう。 これはいい意味で、ありそうな物語だ。 青春のステレオタイプ以前のアーキタイプ、それを思い出させてくれる。テンプレではなく古典を。 たとえばキャラクター。魅力的なキャラクターに必要なのは記号ではないのだ。今作に登場する人々は、まるでどこかにいそうな気さえする。曰く、どこかにある現実だそうだからそれも当たり前か。その至近感は、主人公竹原による嫌に真面目で細かい描写によって強められる。ここにも彼の性格が出ていて面白い。 ストーリーは作者があとがきで語るように究極理不尽である。 ルーツの消失と、そのカバー。両親不在に関わらず、無意識のうちに両親に縛られていた竹原、彼は事後になるまでそれに気づかなかった。読者も同じである。主観であるが故に、読者は竹原の弱点に気づかない。 ここに彼が感じた挫折がある。事故の起きるまで、彼は両親と自分の関係に向き合おうとしなかった。それは、それについてあえて語られない前半部分に依る。その無自覚を竹原は悩んだ。語られないことが問題だったのだ。 これは、もはや最近の、というか2000年辺りの、両親不在のアニメ、漫画へのアンチテーゼとも受け取れる。 その後、周りの人間に支えられ、竹原は成長する。 しかし、時間軸的には全然進んでいない。まだ一年も経ってない。語られてないキャラクターもたくさんいる。太田のアルビノも、どこか先送りにされている感があるし、個人的には日笠頑張れ。部長と先生の関係も気になるぞ。 脱線した。 とりあえず、次作というのかわからないが、他キャラクターの話も書かれる予定だそうで、あんしんパパ。 仰々しいメガネがオチに対して何も絡んでこなかったことに笑ったのは内緒。

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