ミッドガルドの異変

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ここは地上-ミッドガルドにあるラッセン。 ラッセンは大陸南西に位置する都市ジェラベルンの衛星都市であり、交易地点としても繁栄していた。 そんなラッセンの郊外にある森を駆ける1人の青年がいた。 そしてその青年を追いかける女性。 2人は森の中を走る川の川岸までくるとそこで休憩を始めた。 『リリィは本当に足が遅いんだな』 『うるさい。 兄さんが早過ぎるのよ・・・・・って聞いてる?シェイド兄さん?』 『水くらいゆっくり飲ませてくれよ。 ぷはぁ~。 1週間後には父さんが帰ってくるんだ。早く獲物を捕まえて帰るぞ』 2人は兄妹である。 兄のシェイド、妹のリリィ。父は知人のつてで大陸最大軍事国であるヴィルノアの軍隊に加わっていた。 今日は1週間後に久しぶりに帰ってくる父にご馳走するべく、森に狩りに来ていたのだった。 ガサガサ 近くの茂みで何かが動いた。シェイドは無言で剣を抜き、リリィも左右の腰から双剣を抜く。 2人はじりじりと茂みに歩み寄った。 するといきなり茂みから何かが飛び出し、シェイドに襲い掛かった。 『兄さん!』 シェイドに飛び掛かったのはムーンウルフであった。 ムーンウルフはシェイドに覆いかぶさり、今にも噛み付こうしている。 『日中にこいつに出くわすとはな。リリィ、最高の肉だ。討ち損じるなよ』 シェイドはそう叫ぶと、足でムーンウルフを蹴り離した。 ムーンウルフはすぐに体勢を立て直すと鼻をならしてこちらに威嚇を始める。
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