7940人が本棚に入れています
本棚に追加
/530ページ
「何だ!?まだ言いたいことがあんのか?」
緋音はそう言ってドアノブから手を放し、校長の方に向いた。
「確かに…ワシは今ハーフエルフと人間を同じ存在として見ることはできん。
ワシがそんな人間なのだから、この学校の生徒もハーフエルフを差別するようになったのかもしれん。
だが…ワシはこれから変わっていこうと思っている!
そしてハーフエルフや平民などの差別もいずれ必ず無くしてみせる。
どんなに月日が流れても…いつかは必ず!」
校長は真剣な表情で緋音を見てそう言った。
「…でも校長先生だけが変わっても…」
「真の言う通りだ。
それでこの学校の生徒が全員変わるとは思えねぇ」
「…そうじゃ。
だから君達ギルド部に頼みがある。この学校を…変えて欲しい」
そう言うと、校長は両手を地面をつけて頭を下げた。俗に言う『土下座』だ。
「なっ…!」
忍もそれに対して驚きを隠せず、驚きの声をあげる。西園寺も口を震わせながらゆっくりと言葉をはく。
「こ、校長!何を…!?」
「……校長ともあろうものが、一般生徒に頭を下げていいのかよ」
「…頼む。わしは年をとりすぎた…。あの子達のすさんだ心を取り戻せるのは…君達のような若く、純粋な者だけじゃ。
それに…わしは校長である前に、まず人なのじゃ!」
「………私達は普通にギルド部の活動を行うってだけよ。生徒を純粋な心に戻すなんて…」
「…秋宮の言う通りだなぁ。んな事俺達が知ったこっちゃね~よ」
平井も緋音と同意見らしく、挑発的な態度をとる。
「君達はただギルド部の活動をしていてくれればいい。
それで…学校の雰囲気は徐々に変わって行くハズじゃ。
少なくとも…私はそう思っている」
校長は真実を訴えるかのような目で緋音を見た後、神崎の持っていた届けを手にとり、承認のハンコを押した。
最初のコメントを投稿しよう!