伝説の始まり

22/24
7940人が本棚に入れています
本棚に追加
/530ページ
「何だ!?まだ言いたいことがあんのか?」 緋音はそう言ってドアノブから手を放し、校長の方に向いた。 「確かに…ワシは今ハーフエルフと人間を同じ存在として見ることはできん。 ワシがそんな人間なのだから、この学校の生徒もハーフエルフを差別するようになったのかもしれん。 だが…ワシはこれから変わっていこうと思っている! そしてハーフエルフや平民などの差別もいずれ必ず無くしてみせる。 どんなに月日が流れても…いつかは必ず!」 校長は真剣な表情で緋音を見てそう言った。 「…でも校長先生だけが変わっても…」 「真の言う通りだ。 それでこの学校の生徒が全員変わるとは思えねぇ」 「…そうじゃ。 だから君達ギルド部に頼みがある。この学校を…変えて欲しい」 そう言うと、校長は両手を地面をつけて頭を下げた。俗に言う『土下座』だ。 「なっ…!」 忍もそれに対して驚きを隠せず、驚きの声をあげる。西園寺も口を震わせながらゆっくりと言葉をはく。 「こ、校長!何を…!?」 「……校長ともあろうものが、一般生徒に頭を下げていいのかよ」 「…頼む。わしは年をとりすぎた…。あの子達のすさんだ心を取り戻せるのは…君達のような若く、純粋な者だけじゃ。 それに…わしは校長である前に、まず人なのじゃ!」 「………私達は普通にギルド部の活動を行うってだけよ。生徒を純粋な心に戻すなんて…」 「…秋宮の言う通りだなぁ。んな事俺達が知ったこっちゃね~よ」 平井も緋音と同意見らしく、挑発的な態度をとる。 「君達はただギルド部の活動をしていてくれればいい。 それで…学校の雰囲気は徐々に変わって行くハズじゃ。 少なくとも…私はそう思っている」 校長は真実を訴えるかのような目で緋音を見た後、神崎の持っていた届けを手にとり、承認のハンコを押した。
/530ページ

最初のコメントを投稿しよう!