敦の本当の想い

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(うわ!顔、会わせにくいな・・・。)  保健室のベッドで頭を抱える。  今時、中学生だって鼻血を出して倒れないって。  落ち込んだ俺は気分が落ち着いた頃に保健室を出て、自分の部屋に戻った。  部屋に戻り、自分のベッドにうつ伏せに寝転んだ。 「俺、男として最低だ・・・。」  ぼそっと呟き、目を閉じる。  俺はそのまま、眠ってしまったようだ。  夢の中で、俺は裸になっていた。 (何で?俺、裸?)  驚き戸惑っていると、フウッと俺の前に人が現れた。  早瀬である。  俺同様、早瀬も素っ裸になっており、俺はかなり焦った。 「何だよ!早瀬!」 「敦・・・。」  目を潤ませ、切なげな眼差しで俺を見る。  そして驚いている俺を自分の方に抱き寄せる。 「早瀬!俺は男だぞ!」 「知っている。でも、お前を抱きたい。」 (うっぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!)  展開が早過ぎて、理解不能だ。  俺を抱き締めていた早瀬が少しだけ、俺から離れる。  そして目を閉じて、俺にキスをしたのだ。 (誰か、嘘だと言ってくれぇぇぇぇぇぇぇっ!!)  キスをされ、俺は早瀬に押し倒される。  瞬時に、頭の中に昼間の雑誌の光景が浮かび上がる。 (もしかして、早瀬は俺を抱こうとしている??)  しかも、俺は抵抗せずに受け入れようとしている。  再びキスをする。  俺は抵抗せず、それどころか早瀬の背中に腕を回し、自分の方に引き寄せている。  互いの舌を絡め合わせ、早瀬が耳元でくさいセリフを囁いては肌に口付けていく。  そして―――――。 「・・・・。敦!」 「えっ?」  名前を呼ばれ、俺は目を開けた。  目の前にはジャージ姿の早瀬がいる。 (もしかして、今のは・・・夢?)  きょとんとしている俺を見て、早瀬が呆れた表情を浮かべている。 「鍵も掛けないで、よく堂々と寝ていられるな?」 「寝てた?俺?」 「ああ。練習が終わって、気になったから来てみたらにやけた顔で寝ていたぞ。覚えてないのか?」 「ああ・・・・。」  どうやら、夢だったらしい。  フウッと息を吐いたその時、俺は下半身に変な違和感を覚えた。 (何だ?)  首を傾げながら、体を起こして下半身を見た瞬間、一気に顔を青ざめた。  そして早瀬の横をダッシュで通り過ぎ、トイレに駆け込んだのだ。
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