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「ふふっ、朝日が眩しい……っとと、遅刻しそうだったんだ! 行ってきまーす!」
初っぱなから何故か説明口調の彼――津島祐樹(つしまゆうき)は、今日から世話になる学校を目的地に設定し、朝食のパンをかじりながら走っている。
中性的な男子だ。
流れる茶髪。キリリと整った眉に、鋭さのある二重の瞳。チェック柄のブレザーがよく似合っている。
彼は大や小の様々な住宅が見守る中、肌を洗うような冬の風と共に走っていた。
何せ今日は転入初日。遅刻だけは絶対に許されない。
昨日、転校する事の緊張からか、なかなか寝付けなかったのが痛かった。まさか初日から走る事になるとは。
(くっそー! 運動不足かー?)
思うようにスピードが上がらない。息も切れてきて、くわえている食パンを吐き捨てたくなった。
曲がり角に差し掛かる。
この曲がり角を越えれば、ゴールが見えてくるのだが。
その時――
「キャッ!!」
衝突。
不意の事故に、思わず身体のバランスが崩れる。
そしてドスンと尻餅をついた。
尻に響く鈍痛に、思わず「痛い」とか言いながら立ち上がりそうになったが――
前方の面妖な物体を肉眼で確認し、言葉を生唾と一緒に飲み込んだ。
しまぱん……。
鮮やかなライトブルーと、白い線が縞模様にプリントされた下着が目に映る。
ウーウー! 脳内に警報! 敵襲! 敵襲!
おい三番ミサイルの弾頭が外れたぞ! 触れれば爆発しそうだ!
くっ、弾幕薄いぞ! 何やってんの! おい衛生兵! 衛生兵はいるか!
各員迎撃体制! ただちに敵を迎撃せよ! これは演習ではない! 繰り返す! これは演習ではない!
「あ……あ……」
彼の頭は、このベタすぎる展開にショートしていた。
さらに、ひどく勃起をしていた。
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