29086人が本棚に入れています
本棚に追加
/342ページ
俺はただ、棒立ちで立ち尽くすしか無かった。ってか、今どんなアクションをすれば良いかまで、頭が回らない状況にあったりする。
対する綾は、自分が何を言ったかを今になって実感したらしく、真っ赤になってプルプル震えながら俯いていた。よって、俺と綾の間には、ただただ沈黙が流れる。
……この空気……どう壊せばいいのかな……
ってか綾もキャラが変わりすぎなんだよぉ。昔言った「俺を女として見るなよ」宣言は何処行った?って感じだ。
不意に少し顔を挙げた綾と目が合ってしまう。すると綾は、一瞬で恥ずかしげに視線を反らした。
ヤバいな……元々は普通の男児だった俺にとっては、この仕草は堪らない。
……が、それ以上に……気まずい。
「裕一ぃ」
俺が混乱して固まっていると、制服の袖がクイクイッと引っ張られる。
それをしたのは瑞葉であり、何かしらの助言を貰えるという希望を持って顔を向けると、間を開けずしてこう言った。
「……浮気は駄目だと言っただろう。保健室になら私が付き合う。潤江田よりも私の方が裕一を気持ち良くさせられる自信があるからな」
なんとも空気が読めないお方だった。
最初のコメントを投稿しよう!