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「フラウ、今日からお前は執事を従え我がクラウツヴェルグ家の仕事を学ぶことになる。人民を引っ張っていくという責任の大きさをしっかりと学んでくれ。」
「はい、父上。」
フラウヨーゲンの父が、忠誠式での決められた台詞を述べ、フラウヨーゲンも式の前に言われた通りに応えた。
「レイオステ、彼をここへ。」
フラウヨーゲンが期待を込めた目で父の執事を見た。
彼がドアを開け、フラウヨーゲンの執事となる青年を迎え入れる。
その青年は、ダークグレーの髪を無造作に跳ねさせ、オッドアイの切れ長の目を持った美丈夫であった。
「フラウ、彼はコーデュロイ・セイロン・アウフグラーツ。お前の執事になる。」
フラウが青年に見惚れていると、では忠誠の義を始めよう、と父が準備をさせる。
フラウは緊張したように身を固くし、コーデュロイを見た。
コーデュロイはジッとフラウを見ると、チッと小さく舌打ちをした。
「なっ…」
聞こえたのはフラウだけらしく、誰もコーデュロイの行動を咎めるものはいない。
「さぁ、始めよう。コーデュロイ君、このスミレをフラウに捧げ、忠誠を誓ってくれ。」
コーデュロイはスミレを受け取り、フラウの目の前に立つ。
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