第一章 大日本帝国

2/18
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
世界を支配する超巨大連邦国家、大日本帝国。 こんなフレーズを耳にすれば、100年程前の我が国の御偉いさんは小躍りして喜ぶのだろうか。 今や日本の領地はかつての日本列島だけに留まらず、数々の土地を我がものにしている。 それだけに、自分の国の治安を維持するだけでも大変であった。 数々の戦争に明け暮れ、今や首都である東京ですら犯罪は増加する一方… そこで御偉いさんの方々は首都圏の治安と防衛を目的とする部隊…俺達、治安維持隊を防衛庁の機関の一つとして設置した。 防衛庁の直轄部隊たる、安全な世界を創る組織なのだ。 防衛庁の直轄部隊と言いつつも、俺の給料は安く、そしてかなりの重労働。 正直、とてもやっていける仕事ではない。 「はぁ………」 我が身の状況を振り返り、思わず溜め息が漏れた。 思えばもうちょっと高校で頑張っていれば…もっと楽に稼げるエリート官僚にでもなれただろうに、今でも一応官僚は官僚だが、配属された隊が悪かったと今更ながら思わざるをえない。 俺が配属されたのは治安維持隊一のケチ部隊で有名な3番隊だ、今やそこの副官にまで出世したはず…なのだが、給料は何故か変わらない。 3番隊がいてもいなくてもかわらない雑用部隊という嫌な肩書を得てしまっている所以であろう。 左遷に近くないか、これ。 つまり、これは罠だったんだな。 俺みたいな奴がこんな簡単に副官になれるなんておかしいと思ったんだ。 とか言いつつ、副官になれると聞いた俺は、初めはしゃいでたっけ……。 なんだか、自分の無能さに腹が立ってきた。 とは言っても全ては『今更』である。 ここまで来てしまってはもう引き返す事はできないだろう。 とりあえず今日もいつもと同じように…渋谷の近くにある防衛庁治安維持隊本部ビルへと足を運ぶ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!