受け身の恋

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凍てつく疾風(カゼ)が 結ばれた2つの手を 引き剥がそうとする もう失いたくないその手を 僕は強く...強く握る キミはそれに答えるように 弱く握り返してくれた 今なら言えるだろうか この気持ち―― 届けたいこの思い でもすべて言の葉に変えたら 目の前から消えてしまいそうだから 今は体温を伝えてるんだよ 握られたこの手を通じて 疾風も季節に流されて 銀桜も形を変えていく 柔らかく包んだ手を見て キミの存在を確かめた この手に残った温もり 離れていくこの温度 キミは駆けていく 無作為に伸ばすけど 気付けば遥か遠くに霞んでゆく 疾風が吹いた 空の薫りを纏い この手をすり抜けてゆく その先にある 霞を払いのける 並木の間を 駆けよって来る キミの姿が とても―― とても、眩しくて 輝かしくて ちゃんと見てあげれなかった 季節を纏い キミは桜色に染まる 頬を寄せ 確かめ合い 2人は愛しあう 終わらない 永遠の春空の下で――
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