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──東京X区某所
8月31日、深夜2時。
狭い裏路地の一本道を、ある人影は走っていた。
薄暗い道に稀に置いてある街灯が、その人影を照らしだす。
見る限り、16~7歳の少女だ。
漆黒に染まった瞳を持ち、腰近くまであるストレートの黒髪は、無造作にヘアゴムか何かで一本に束ねてある。
服装は袖の無い黒のタートルネックと茶色のショートパンツ。
足下では大きめのハイカットスニーカーが擦るような音をたてていた。
一見極めて普通の格好のようだが、体のいたるところにつけられた大小様々な切り傷が、今現在彼女が普通ではないという事を示していた。
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