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そう言って、レイラは愁の腕をがしりと握る。
その行為は、まさしく『逃がさない』とでも言うようだ。
「さぁ、行きますよ?
今日という今日は、きちんと自分が散らかした場所は片付けていただきます。」
「しっ、シズゥ~」
こちらに向かって手を伸ばしてくるが、それよりも早くレイラによって家に引きずり込まれた愁。
後に残ったのは、無言・無表情の雫だけだった。
「…………」
このまま突っ立っていても仕方ない―――
そう思って雫が我が家に背を向けると、その背後から声がかかった。
「雫様。」
「…………」
またもや出鼻をくじかれた雫。
若干その表情に苛立ちが浮かんだが、その声に反応しないわけにもいかず―――
雫は小さくため息をつき、再び我が家へと体の向きを変えた。
「どうかしましたか、ロイさん。」
相手が愁だったら、完全に無視だったのだが―――
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