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夕陽が二度と落ちなくなった日。永遠に夕焼けが続く日。
僕らの街はまるで炎に焼かれたみたいになって、ノスタルジックの欠片をぱらぱらと振り撒いた。
それからと言うもの、大人たちはどこかへ行ってしまって僕らの事なんてもう覚えていないみたいで。
空に浮かんだままの夕陽が、僕らを捕まえている。
もう二度と、逃がさない
もう二度と、暗い夜なんて
寂しい夜なんて。
今日も、近所のコンビニでは子供たちが菓子パンを巡って争いを続けている。
お金なんて、もうただの借用書でしかない。いや、むしろただの紙切れじゃないだろうか。
幾日も幾日も、夕焼けが続いた。
そして六十二回目の夕焼けの朝、少しだけ日常がかわった。
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