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カイトが今回の戦いが自分の仕業だと告げて、厳しいことも言うと、僧侶はその話を否定せず、淡々と言う。
その話は自分に言い聞かせているようで、カイトの方を向いてさらに続ける。
「だからカイト、私に戦うすべを教えて」
「そうか、持って来ていたこれが、無駄にならなくて済んで良かった」
カイトは微笑み、魔倉庫から何かを取り出す、それは先端に宝石の埋め込まれたメイスだった。
僧侶の職杖の一つで、槌頭に六枚のプレートが六十度間隔で広がっていて、その先端の宝石は青く丸い。
長さはある程度あるものの、普通の杖として使うことが出来、カイトは僧侶にそれを手渡して告げる。
「僧侶、メイスは魔法の媒介として使いやすくしてるが、明日の晩からはしばらく練習だな」
「わかった、でも今度からは僧侶って呼ばないで、名前で呼んで」
カイトの言葉に頷いた後、自分のことを名前で呼ぶよう頼む僧侶。
「ああ、今度からリーナと呼ぶよ、でも勇者は良いのか?
勇者を好いていて、旅に付いて来たんじゃなかったのか?」
「良いの、最初は逃げることを許してくれたから好きになったけど、今思えば居心地が良かっただけ」
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