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笑い出しそうな自分をなんとかこらえる。
間違いなく八つ当たりだし。
泣かせたから僕、怒られてる?
泣くのを見られるのが恥かしいってこと?
とりあえず…
美香さん…可愛らしいですよ。
「何笑ってるのよ馬鹿!」
抑えていた美香が暴れだすのを感じて僕は美香さんを抱き起こして、布団ごと抱きしめた。
「何してんのよ!離せ!」
「ほっとして泣いてしまうのの、何がいけないんです。僕に怒られる理由はありませんね。」
「だからアンタは悪くないって言ったでしょ!」
もこもこと布団の中で暴れているようだが、布団が拘束しているような形になって、僕にはほとんどダメージがない。
僕の肩口に顔を出して美香は動けない手足に変わって首を振る。
「じゃあ、機嫌直してください。」
「…。」
静かになったので、顔を見てみると目一杯に涙を溜めて泣くのをこらえている。
「美香さん、…ほっとしましたね。」
僕の声が合図のように瞳から涙がこぼれてきた。
「…巧の馬鹿…。」
ブツブツと文句を言いながら美香は涙を流す。
可愛げがなくて、本当に強情だな。
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