第四章

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 「あーっ!美味かった!宗っ!お茶っ!」  教授はあっという間にクレープを食べて満足した様だ。  「緑茶で良いですね。」  満足している教授を楽しそうに見ていた法樹さんは、皿とグラスを手早く片付けると、お茶を入れて教授の隣に腰を下ろした。  「うぬぬぬ……。」  狸の呻き声がしたので、そちらを見てみると……。  「うわー。狸。キャラメルとカスタード、毛に付いてエライ事になってるぞ……?」  「うー。やっぱりこういう食物は苦手じゃ。」  どうしたもんかのー?身動きが取れずに、テーブルに立ちすくむ狸を俺は持ち上げた。  「俺、洗ってやるよ。法樹さん水道何処ですか?」  「隣の仮眠室に有りますよ。良かったですね。老師。」  「うむ。すまんの。ゆき。」  狸は頭をこちらに向けてお礼を言った。  「良いよ。講義のお礼だし。俺、一度動物洗ってみたかったし。」  俺が笑いながら答えると、狸も笑って答える。  「いわゆる、ギブアンドテイクと言うやつじゃな?」  ……本当に物知りな狸だ。俺は改めて感心した。
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