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やがて二年の歳月が過ぎ、フェンリルは立派な大人の狼になりました。
もう前後左右どこから見ても、まごうかたなき狼です。裏返してみても、やっぱり狼です。
さすがに羊飼いも、これはどう見ても狼だと気づいてしまいました。
さて、どうしたものか、今のところこの狼は羊達に危害を加えていないが・・・。
羊飼いはフェンリルの処分に悩みました。今のところ自分達に危害が加えられていないので、このまま飼っていてもいいかな・・・
と思ったりするのですが、外野が黙っていません。
羊飼いの知り合い達が、
「あれは狼だ。今は大人しいふりをしていても、いつかきっと危害を及ぼす。悪い事は言わないから、早いとこ殺してしまいなさい。」
と、ご親切にも、羊飼いに会う度に勧めてくれるのです。
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