ー序章ー

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毎晩毎晩ーー、私は……。 私は、お兄ちゃんに……。 「ねぇ、やだっ!!待ってっ」 「ダメだよ。優海(ユウミ)待ったはなし」 泣き顔で待ってと告げる少女に青年は意地悪く笑った。 「待って!!待ってってば……あっ!!」 しかし少女の願いは聞き入れられずーー、 「やったね♪俺の勝ち」 「うわぁ~ん!!だから待ってって言ったのにぃ」 勝敗は決した。 ーー格闘ゲームの。 画面の1Pの方にwinという字が映っている。 「ふぁ~、負けたぁ」 優海はがっくりと肩を落とした。 「ふふん。俺に勝とうなんてまだまだ早いな、優海」 優海の傍らにいるお兄ちゃんことーー誠二(セイジ)が悪戯っぽく笑った。
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