《髪》

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ついた溜息が白く濁り、北風がそれを吹き消す。 もう3月も半ばだというのに、今日は異常に寒い。 いや… こんなにも寒さが身に凍みるのは、隣にさくらがいないからだ。 半年も前に別れた女を思っている自分が情けない。 引きずっているのは自分だけだと分かっている。 だから、忘れようと努力した。 もらったプレゼントや2人での写真は全部捨てた。 よく行ったカフェやいつも立ち止まる交差点は避けた。 それなのに…
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