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もしかしたら何処かにあるかもしれない時間、世界、時空。
在るかもしれず、無いかもしれない世界。
そんな、在るかもしれない平行世界。
その一つ…。
そこは、広大な平原が周囲に広がる場所。
一人の赤い鎧を身に着けた人間が立っていた。
その前には、赤い竜。
彼等は、狩る者と狩られる者、その関係にあった。
竜は咆哮しながら赤い人間に突貫した。
人間は衝突する直前、走行する線から逃れ、その脚に背負った巨剣を横に凪いだ。
その巨剣は脚に食い込み、そこを侵食していく。
あたかもそこを食い破るが如く。
竜はその勢いのまま転倒した。
大地は抉られ、むき出しの土が巻き上がる。
その倒れた竜に、赤い鎧を身に着けた人間は、竜の腹に巨剣を突き入れる。
食い込み、その臓器を切り刻み、剣は血を飲み、肉を食らって行く。
竜はすぐに絶命した。
赤い鎧を身に着けた人間は、竜の身体から剣を抜き、血を払い背に収めた。
そして、腰に下がった小さな、しかし骨を切断する事も可能なナイフを取り出し、竜に突き立てた。
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