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僕は犬だ。ご主人様と一緒に暮らしている。
ご主人様の名前はハルカと言うらしい。僕が名前を呼ばれると反応するように、ご主人様もその言葉に反応する。
ハルカと一緒になったのは随分前のことだ。僕も小さかったし、あまり覚えていない。
ハルカはあまり家にいない。太陽が昇ると部屋から出ていく。ハルカが帰ってくるまでの間、僕は窓から空を眺めてみたりしている。毎日見ていると、空の表情が微妙に違うことがわかった。
それも飽きてしまうと、もうやることがない。退屈で、暇で、持て余す時間をうまく使えない。いろいろ考えていると、ハルカのことを思い出して、少し寂しくなる。
でもハルカが帰ってくると、寂しい気持ちも吹っ飛ぶ。
僕はハルカに飛び掛かる。ハルカは僕を笑顔で撫でてくれる。僕はうれしくなってハルカの顔を舐める。そうすると、ハルカは嫌がるんだ。でも笑顔で。
この時間はとても楽しい。ひとりで待っていた甲斐があったんだって、いつも思う。
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