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西暦2050年7月――。
「オラオラオラ!」
青々しい葉が、辺りの木々から産み出されている緑豊かな森。
そんな自然み溢れる森を物ともせず、襲い来る凶暴化した犬達に、身の丈170cmくらいの黒髪の青年は、機関銃の鉛弾を轟音と共に撃ち出す。
キャイン、キャインと、まるで悪戯っ子に蹴られて泣き逃げるかのような鳴き声を上げて、凶暴化した犬達は次々に命を散らして行く。
「どうした、もう終わりか犬っころ」
そう言って、青年は小型の機関銃を構える。
何処から襲って来ても直ぐに対応出来るようにする為だ。
青年は、ヘルドッグと呼ばれる凶暴化した犬との戦いに、間違いなく慣れていた。
地面と言う地獄に転がるヘルドッグの死体からは、赤く、生温かく、生臭い液体が、地面を赤い地獄絵図に染め上げていた。
だが青年は、森を汚していると言う罪悪感を一切感じてはいなかった。
何故なら、ここが戦場だからだ。
森をいたわる為に気を緩めてしまえば、今度は自分があの地面に転がる事になる。
そんな惨めな姿を、青年は想像すらしたくなかった。
ヘルドッグが牙を剥き出しにして、威嚇の声を唸らせる。
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