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「ありがとう、和泉くん……。
クロは最後まであたしの為に、すごく怖かっただろうに、一生懸命頑張って闘ってくれたんだよね。
クロの為にも、いつまでも悲しんでいられないよね。
和泉くんのお陰で、元気出たよ。
本当にありがとう」
「いえ、クロを守ってあげることが出来ず、申し訳ありませんでした」
「さすが和泉だな。
やっぱり俺は、人を励ますなんて、向いてねえな」
「ううん、そんなことないよ。
優しいヤクザ屋さんの気持ちも十分伝わってきたよ。
ありがとう、鮫島さん」
「やめろ、急に鮫島さんだなんて、気持ち悪い。
お前らしくねえじゃねえか、いつも通り鮫島って呼び捨てにしろよ」
「わかったわよ、鮫島」
絵理子がふざけた感じに笑った。
「それでこそ、クソ生意気なお前だよ。
なあ和泉?」
鮫島の問いかけに対して、和泉が青ざめた顔をしながらじっと見つめている。
「なんだ、どうした?
俺の顔に何かついてるか?」
「顔色悪いですよ和泉さん、少し休んだ方が」
杉崎が、心配そうに声をかけた。
「い…いや、大丈夫です。
少し疲れているのだと思います」
和泉の表情は、最後まで晴れなかった。
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