第二十二章 龍蔵寺へ

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「ありがとう、和泉くん……。 クロは最後まであたしの為に、すごく怖かっただろうに、一生懸命頑張って闘ってくれたんだよね。 クロの為にも、いつまでも悲しんでいられないよね。 和泉くんのお陰で、元気出たよ。 本当にありがとう」 「いえ、クロを守ってあげることが出来ず、申し訳ありませんでした」 「さすが和泉だな。 やっぱり俺は、人を励ますなんて、向いてねえな」 「ううん、そんなことないよ。 優しいヤクザ屋さんの気持ちも十分伝わってきたよ。 ありがとう、鮫島さん」 「やめろ、急に鮫島さんだなんて、気持ち悪い。 お前らしくねえじゃねえか、いつも通り鮫島って呼び捨てにしろよ」 「わかったわよ、鮫島」 絵理子がふざけた感じに笑った。 「それでこそ、クソ生意気なお前だよ。 なあ和泉?」 鮫島の問いかけに対して、和泉が青ざめた顔をしながらじっと見つめている。 「なんだ、どうした? 俺の顔に何かついてるか?」 「顔色悪いですよ和泉さん、少し休んだ方が」 杉崎が、心配そうに声をかけた。 「い…いや、大丈夫です。 少し疲れているのだと思います」 和泉の表情は、最後まで晴れなかった。
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