第三十一章 惨劇

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それは珠王の放った矢であった。 戴簡「おのれ珠王!!」 珠王「あら ご免なさい、手元が狂っちゃったみたいね」 小馬鹿にする様な口調で喋る珠王に戴簡の憤りは益々激しくなった。 その間にも戦死者と逃亡者は増え続け、もはや戴簡軍は壊滅的な状態になっていた。 その上 後方部隊は軍事行動がとれる状態ではなく、残る戦力といえば戴簡が率いる5000余りの兵士のみ。 対して珠王軍は2万以上、単純に戴簡軍の4倍以上の戦力差である。 最早勝敗は明白・・・・・・戴簡の完全な敗北であった・・・・・・ 武将「戴簡様、こうなれば最後の1兵まで戦いましょう!」 兵士「そうです、我等も最期までお供します!」 戴簡「お前達・・・・・・」 敗色濃厚な状況でありながらも部下から力強い声が上がり、それが幸いして憤る戴簡の気を鎮める事となった。 5000の兵士は皆 幾多の戦場を戴簡と共に生き抜いてきた者達である。 上官と部下でこそあるが共に喜びや悲しみを分かち合い、幾度の死線を乗り越えてきた戦友でもあった。 それだけに絆は固く想いは強く、皆 戴簡に殉じる覚悟を決めていたのである。 いわば5000の兵士は戴簡軍の中で最も優れた精鋭中の精鋭であった。
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