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「お疲れさ~ん!なかなか良い出来だったんじゃねぇの?」
今宵の祭りは終わり、烈次の家で酒を飲む四人の当主。
「やっぱりさ、迅徠の演舞はすごかったよ。佐斬真諦をあそこまで踊れるのは迅徠ぐらいじゃないのかい?」
酒に弱い流青は顔を赤くして、迅徠に酒を注ぐ。
「そんなことないさ。俺が見て一番心に残ってるのは前風当主の妃慈璃(ひじり)さんの佐斬真諦だよ」
「確かに妃慈璃さんの演舞は素晴らしかった。でも私は今の迅徠さんの演舞の方がもっと素晴らしいと思います」
岩珠は酒を一口飲んで、そう言った。
酒が入ると迅徠を前にしても口が回るようになるらしい。
「そこまで言われると照れるだろ」
頬を掻きながら迅徠は軽く笑った。
そしてふと、妃慈璃のことを思い出した。
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