あの日…

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あの日…

「あ…りが…と…う…」 ショウに抱かれ、最後の力を振り絞り、ショウの顔に手を添えキスをして、そのままイズミは目を開けることもなく、 その後、ショウの名前を再び呼ぶ事もなくなったあの日… 病院で皆に抑えつけられながらも 自分の体を全て移植してでも助けろと叫んだ。 イズミの葬儀では最後まで一言も話さず、ずっとショウはイズミのそばから離れなかった。 イズミの家族は勿論、2人を知っている人は皆、ショウを黙ってみていた。 店の仲間、そして家族以外は、2人がまだ結婚をしていなかったのを初めて知り、旦那さん、奥さんと話しかけていた人達は皆、よけいにショウを見て涙を流していたが。 最後の瞬間、皆は花や、イズミが好きだったものをいれるのに、ショウは指輪と2人の名前と印鑑が押された婚姻届を入れていた。 周りにはそれが辛くなんとも言えない感情に襲われた。 そして、それを見たからか、 イズミの両親から、「私達じゃなくて、ショウが抱いてあげて」と言い、小さな箱に入ったイズミを抱きしめたショウを見たからか 「これだけ想っている2人なんだから、区役所も受理すれば良いのに…」と 「死んだ人間と出来るわけないだろ」と笑われたショウを、皆は涙をながし見ていた。 そして葬儀も終わり、皆が一瞬、ショウから目を離した瞬間だった…
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