吉田の眼鏡デザイナー

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本日のお客様は近所にお住まいの吉田川十郎(34)様。 何でも、今まで視力がA以下になったことが無かったのに、最近突然視力が落ち、日常生活も困難になってきたと言うことです。 どうしていきなり目が悪くなったのだろうと落ち込む彼に、吉田の眼鏡デザイナーである私はこう言いました。 「川十郎さん。あなたの目はきっととにかく無理をするタイプだったんでしょう。だんだんと視力が落ちていく人の目が『朝礼の時に具合が悪くなったら無理せずにしゃがみ込んで先生に助けてもらう人』だとしましょう。そうするとあなたの目は『めまいがしても決して座らずに頑張って立ち、どうしても倒れるのは意識を失ったときだという人』なんですよ。そこまで忍耐力のある人は素晴らしいですよ。あなたの目は今までよく頑張ったのです。頑張って頑張ってついに意識を失って倒れたのです。これからは眼鏡を掛けて、目への負担を減らしてあげて下さい。ただ、視力は回復しますから、たまに裸眼で遠くと近くを交互に見たり、目の周りをマッサージするなどしてください。希望を捨ててはいけません。という訳で、早速眼鏡をお作り致しましょう。」
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