最終章 名探偵の条件

18/19
288人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
「まあな、探偵らしいだろ?」 「はい。最初私はあんたが何かを見落としたはずだ、何か知らない事がある…ずっとそう考えたんですけど、真実は逆だった。知りすぎてたんだ。普通ならわかるはずない事まで。」 「痛いミスだったな…煙草いいか?」 「すいません、外でお願いします。」 外の空気も吸いたかったしな…醍醐は車から出て煙草に火を着けた。すると志津里も車を降りて醍醐の横に来た。 「…何かあんたが最初に事務所に来た時、嫌な予感はしたんだけどね。」 「私は中南海の吸殻を見つけて確信しました。それまで苦労しましたから。」 「風水も興味無いんだろ?吸殻見たくて灰皿触ったんだ。違うか?」 「ええ、正直言うと。」 志津里は嬉しそうに言った。 「大変な奴に事件担当されたもんだ。ホームズさん。」 「いや、私は名探偵じゃない。普通の安月給の刑事です。あなたは犯人でしたけど、これ程の事を考え付くなんてある意味名探偵だ。すごいです。」 「そんなもんが名探偵じゃない。名探偵ってのは依頼を完璧に遂行する人間だ。今回は依頼を利用して犯罪を犯したんだ、探偵失格だよ。」
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!