序章

2/3
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
「お姫ちゃまが、いるよ」 小さな指で右斜め前方を一生懸命差している。 僕は日菜子の指が示す方向へと視線を向けた。 「あー、あれはお嫁さんだよ」 「お嫁ちゃん?ひなもおちろに行きたい」 「お城?お城じゃないよ、あれは教会という所だよ」 日菜子を幼稚園に迎えに行った帰りの事だった。 「きれいだね、お嫁ちゃん」 小さくても女の子なんだな、と思った。純白のウェディングドレスに身を包んだ花嫁さんに釘付けな日菜子を見て、僕は微笑ましい気持ちになったのを覚えてる。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!