序章

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 少年はゆっくりと視線を下に落とした。 視線の先には若い大人の男女2人が折り重なった状態で死んでいた―。 そしてその2人の若い男女の死体の近くには,まだ幼い弟が泣きじゃくっている。 少年は,視線を自分の右手に向けた。 視線を向けた右手には,赤い血で真っ赤に染まった小刀にそれを握っている右手も赤に染まっていた。 赤い血で染まったのは右手だけじゃなかった…茶色の髪や頬,そして服もところどころが赤い血で染まっていて,特に胸あたりから腹部あたりまでが…。 一瞬自分が一体何をしたのか思い出せなかった。  
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