8人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「!!」
しばらくその場から動けずにいると、トキと同じくらいの年の少女が歩いてきた。着物を着た髪の長いその少女はトキを見て不思議そうに首を傾げた。
「どなた?」
「あ、ご、ごめんなさい。僕、トキっていいます。あのっ…ボールが入っちゃって…その…」
人がいたという驚きと、怒られるかもしれないという不安で口ごもりながら答えた。
「見つかったの?」
「え、うん」
優しい少女の口調に、トキはほっとして笑顔を見せた。
「外に待ってる子がいるでしょ?早く戻ってあげて」
トキにつられるように少女も微笑んだ。人形のように整った顔をした少女の笑顔はとても穏やかだった。
「うん。・・・君の名前は?」
「・・・八雲」
「八雲かぁ。いい名前だね。今日はごめん・・・また遊びに来てもいい?」
八雲は驚いたようだが、すぐに何度も頷いた。
「ありがとう!じゃあまたね」
トキは八雲に手を振り、その場を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!