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トゥーラの曙の空を見上げながらメリルは目を覚ます。
『今日もいい天気ですわね。』
んーっと伸びをして噴水の中央にある龍の背に座り、ゆっくり流れる時間を感じながら目を閉じる。
次第に人々は目を覚まし、街は静かな活気に包まれ始めた。船乗りは自分の船に向かい、子供は賑やかに街中を走り回る。
「やーい、これを返して欲しかったらここまで来てみろよー!」
「返してよ!」
何やら声が聞こえた方を見てみると、子供が二人いる。今にも泣き出しそうな女の子は、男の子に取られた人形に精一杯手を伸ばし追いかける。
「返して欲しかったら追い付いて見ろよ、フルーラ。」
ニヤニヤと笑みを浮かべメリルのいる噴水の周りをぐるぐる回る二人。
「返してよ…カイル!」
フルーラは息を切らしながらも一生懸命追いかける。
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