渾沌の戦雲が流れる時代

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「自己紹介が遅れてしまったな、俺は近藤勇と申す。一応これでも新選組の局長なのだ。君も何かと色々と大変だろう。気兼ねなどせず、何でも言ってくれると良い。宜しく、一条君!」 近藤さんは、私が入隊するという事に対して何も言わずに、ただ柔和な眼差しを此方に向け、ぽんっと肩を優しく叩いた。 てっきり、何か言われるものかと思ってたんだけど…と拍子抜けしつつも私は、 「いえ、こちらこそお世話になります…」 と、正座をしたままの体勢を崩さず頭を下げて言った。 するとそんな私の態度を見てなのか、沖田さんは優しい笑みを湛え、 「和桜さん。 そんなに畏まらなくても、大丈夫ですよ」 と私の顔を覗き込んで、言う。が、 「てめぇが言うんじゃねぇよ」 土方さんの端的な言葉で、沖田さんはたしなめられてしまった。 「良いじゃないですか、別に。 で、近藤さん。和桜さんは何処の隊に配属するんですか?」 沖田さんは一瞬頬を膨らませたものの、すぐに顔を輝かせ、声を弾ませながら近藤さんに問うた。  
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