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「失礼します。1年5組の長野葉月です。化学のノートを出しにきました。入ってもいいですか」
「はい、どうぞ。長野さん、何だか雰囲気変わったね」
入口にいた、あまり面識のない女の先生に話しかけられ、とまどう。
「そうですか?あの、私の名前、どうして知ってるんですか?」
先生はにっこり笑った。
「目立つから」
「そんなはずないです…」
目をふせる。
「まあ、自分ではそういうの、わかんないものだしね。最近はさらにぱあっと輝いてる感じで、そういう変化はいいなあと思ってたのよ」
「えーっと…ありがとうございます」
とりあえず頭を下げる。
恥ずかしい。でも、嬉しかった。
こうして少しずつ、自分を変えていこう。前向きにそう思える。
ノートを担当の先生の机に置き、職員室のドアを閉めると、私はパタパタと小走りで音楽室へ向かった。
窓が開いていて、廊下じゅうにさわやかな風が通っている。
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