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山から食べ物が減っていた。原因は人間の森林伐採にあるという。 仕方なしに山を下りていった。山の麓にある里は豊かで…彼は憧れさえ感じながら頻繁に元の姿のまま人里に下りていた。 人に見つかれば追い払われた。…狐の姿では、それも仕方ない。 蓮は狐だ。だが彼は同じ里に住む狐よりも人に化けることに長けていた。それでも人の姿で田畑から作物をいただくには目立ちすぎるため、人の里へ下りた時も狐の姿のままでいた。 ―――今日もいただきます。 蓮は作物をいただく時、決まって綺麗な花を置いていった。伝わるかわからない感謝の気持ちだが、何かで現したかったのだ。 「狐がいたぞー!!」 ―――!? 突然人の声がして、蓮はその場から逃げ出した。 だが、左右から挟まれるような追いかけ方に、普段とは違う道から逃げるしかなかった。 ガチャ ―――っ!! 罠に気がついた時には右の前足が罠に挟まれていた。振り払おうにも罠は蓮にめり込み、自分で外すのは難しいようだ。 ―――こんな所で死ぬのか…。
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