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諦めの気持ちが強くなってきた時、木の陰から1人の女性が姿を現した。 「!?」 女性は蓮を見つけると、急いで駆け寄り罠に手をかけた。 ―――? カチャカチャと金属音がした後、蓮は罠から解放された。 「大丈夫?痛かったでしょう?」 女性は血の滲む蓮の右前足を見て、布を取り出してそっと蓮の足に巻いた。 「立てる?」 女性の問いかけに、蓮は立ち上がることで答えた。すると女性はほっとしたように笑い、蓮の頭を優しく撫でた。 「よかった。もう捕まらないようにね」 女性はそう言って笑顔を向け、その場を去った。 初めて触れた人間の優しさ。驚きのあまり声が出なかったことが、お礼を言えなかったことが悔しかった。 自分が狐であることが悔しかった。
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