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「んで、あれだよアクル、何時までそうしているつもりだい?」
森の中、高くそびえたつ城壁の近くを、アクルと言う名の少女がうろちょろしていた。
黒いローブを身に付けて、黒く長い、艶やかな髪を後ろでみつあみにしている。
幼い顔立ちとやや大きめな目と、ローブの上からで解りにくい、枯れ枝の様に細い手足。
本名、檜山 悪流はただただうろうろしていた。
「いや、だってですよ魔王さん、私としては、こっちの世界来て初めて自分で入る街なわけですよ、緊張が半端じゃないんですって。」
アクルは頭の中に直接聞こえる声、魔王の声に返事をする。
「つっても、早く入らんと野宿だぞ?」
「……。
それは……それだけは嫌ですね……。
起きたら、下半身無くなってたっていう、あの悲劇だけは、絶対に繰り返したくないです。」
昨日の話し、アクルは、適当に森の中をさまよって、かなりの疲労に、少し眠る事にした。
かなりの疲労感のおかげか、外のわりに案外心地好く寝ていると……なんだか、異様な感じがして眼が覚めた。
見ると、なんか熊みたいな生き物がくちゃくちゃしている。
驚いて逃げようとしたが、なんと下半身が食われていたというとんでも無い事態になっていたというわけである。
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