It's Mine

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俺の隣でにやにやと気持ち悪く笑うこいつが喋れば、歓声が上がる。 いつからか、飛ばされる声が「気持ち悪い」から「カッコいい」に変わった。 そしてそれが当たり前になりつつあるのが、俺は気に入らなかった。 今日はテーマパークでのロケだ。 中に入ると、おかげさまで最近忙しい俺らの周りにはあっという間に人だかりができた。 テーマパークの客達は、アトラクションそっちのけでロケの様子を眺めていて、何だか可笑しかった。 「安心して下さい、彼女はいませんよ」 春日がカメラに向かってお決まりのセリフを言えば、悲鳴と共に、「カッコいい」と声があがる。 カッコいい? カッコいい訳ないだろう、こいつが。 胸の内ではそう思いつつも、ロケで客をいじる訳にもいかず、口から出る突っ込みはいつもと同じ。 「いてくれた方が安心なんですけどね」 すると今度は周りから、えー、という声が上がる。 もう慣れはしたけれど、やっぱり腹が立った。 あーあ。 どうしてこんな風になったんだろうか。 いつから春日はカッコいいキャラなんだ? 騒がれている春日を見るとため息が出る。 俺が欲しいのは笑いだ。 黄色い声なんて要らないんだよ。 どいつもこいつも表面上だけでカッコいいだなんだ言いやがって。 今日の収録もまたもや心が折れてからのスタートだ。 それからロケは順調に進んだけれど、俺はずっとイライラしていた。
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