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「近くで見るとまた規模が違うもんだな~……」 思わず感嘆の声をあげる。 流石、孤島というかなんというか。空気は澄んでるし、空は青いし、海は綺麗綺麗だし、少し人の手が加えられているけどそれなりに自然は豊かだし、老人になったらここに別荘を建てて残り少ない余暇をゆったりまったりと過ごしたいものだ。 「ここから少し進んだら公橋の表札がついた屋敷があるからそこで勉強をするんだ。分かったな」 「へいへい」 クルーザーから飛び降りる。ついで荷物も投げ落とされた。 「それじゃあな」 荷物を受け取った瞬間、親父は捨て台詞のようにそう言い放ち、クルーザーの急速旋回を見せた。 ハンパねぇっす!! 「へいへい……って!?ええ!?親父来ねぇの!?」 シット!!迂闊だった!!何を呑気に降りていたんだ俺は!? 「それじゃあ夏休みの終わる頃にまた迎えに来るからな~」 みるみるうちに親父の姿…もといクルーザーの姿がホライズンの彼方へと消えていく……。 「…………」 腰の力が抜け、ぺたりと港に膝をついた。もはやどうしようもなく小さな溜息が漏れた。 「こうなることは分かっていたさ……ハハハ……ハハハハハハ……アーッハッハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ――」 今の俺には、さながら負ける事を悟ったラスボスの「俺の代わりはまだまだ居るぞ」的な言葉を言い放った後のような笑いしか出なかった。  
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