プロローグ

5/10
19390人が本棚に入れています
本棚に追加
/694ページ
少年は顔をそむけた。 冷えているはずなのに体が熱く感じられる。 「お姉さんは何者なの?」 「私、ですか?そうですね……今は秘密、ですわ」 彼女は目を細めて、少年に近寄った。 「あなたは【力】を欲する人ですか?」 「えっ?」 何だか心が見透かされて、少年は震えた。 少年は強くなりたいため、家を出た。 しかし、自分はまだ子供。 強くなる方法がわからない。 彼女の目を見つめて、少年は頷いた。 「僕は強くなりたい」 「何のために?」 「それは……」 「復讐?蔑ろにされたお父様を見返すために?」 「――――」 息を詰める。 目を見開いた。 初対面なのに――こちらの事情を知っている!? 「君は一体……?」 「質問をしたのは私ですわ。答えてください」 詰問するような声。 チクチクと肌が痛む。
/694ページ

最初のコメントを投稿しよう!