19390人が本棚に入れています
本棚に追加
/694ページ
少年は顔をそむけた。
冷えているはずなのに体が熱く感じられる。
「お姉さんは何者なの?」
「私、ですか?そうですね……今は秘密、ですわ」
彼女は目を細めて、少年に近寄った。
「あなたは【力】を欲する人ですか?」
「えっ?」
何だか心が見透かされて、少年は震えた。
少年は強くなりたいため、家を出た。
しかし、自分はまだ子供。
強くなる方法がわからない。
彼女の目を見つめて、少年は頷いた。
「僕は強くなりたい」
「何のために?」
「それは……」
「復讐?蔑ろにされたお父様を見返すために?」
「――――」
息を詰める。
目を見開いた。
初対面なのに――こちらの事情を知っている!?
「君は一体……?」
「質問をしたのは私ですわ。答えてください」
詰問するような声。
チクチクと肌が痛む。
最初のコメントを投稿しよう!