遺書。≪第4部≫

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今から嘘つきの話を始めよう。 紛うことなき嘘つきの話だ。 アイツは自分からそれを望み 限りなき願いを持って嘘つきになった。 誰も責めることはできない。 誰にも責めさせない。 善か悪かなんて言うのは問題じゃない。 善も悪もそんなものは結果論でしかないし価値観の違いでしかない。 そんなものでアイツを測ってほしくないし測らせはしない。 重要なのはアイツが自分で選択したということだ。 後悔も罪悪感も正義感も優しさも全てを飲み込んで 自分で選択したということだ。 それが大事で それ以外は語る必要もない。 だから、語ろう。 語り始めよう。 とても残酷で優しい嘘つきの話を始めようじゃないか。
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