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───そう言えば・・・この穴蔵はてめぇの城だったな九尾よぉ・・・
家賃代わりだ、奴等をぶっ殺してやってもいいぜ!!
いくら客分の身とはいえ、妾の城を根城としている土蜘蛛・・・
妾の下に見られるのは必然だ。
故に妾を疎ましく思っておるが、妾には及ばない事も承知。
虚勢を張る小さき存在なれど、奴等を倒せる可能性は充分にある。
「期待はせぬわ。万が一貴様が勝てたなら、妾の物を全てくれてやる。」
土蜘蛛がピクリと反応する。
───貴様の物・・・全てだと?
「この城は勿論、下僕共も貴様にくれてやろう。勝てたなら、だがのぅ?」
想像もしなかった好機に踊る土蜘蛛・・・
───その言葉!!忘れるな!!
目の前にいる下僕共を力付くでどかしながら出て行く土蜘蛛・・・
───九尾様・・・左様な約束をされて宜しいので・・・?
妾は耳まで裂けた口を広げて笑う。
「化かし合いは狐の領分よ。もっとも、化かす程張り合いのある者でもないがな。」
万が一、奴等が土蜘蛛に殺られたら、妾が土蜘蛛を殺ればいいだけの事・・・
「知恵も力も無き事は罪よな!!アアッハッハッ!!」
土蜘蛛を笑う妾だが、心中は別の者を見ていた。
土蜘蛛を倒して妾の前に立つだろう、女と
妾の胸に留まる男、北嶋 勇を見据えておるのだ。
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