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頼れる者などおらず、天涯孤独の身となり、目的もなくあてもなく、流れていくだけの流浪の存在。
結局サラは以前と同じ状況に戻ってしまった。
……しかしそれでも、サラは生き抜いた。
こんなに頑張る自分は、八年前となんら変わっていない。
そう。
変わらない。
復讐心が。
ぬぐえぬ敗北感があった。
自分は、復讐しなければならない相手に負けたのだ。
それがどういうことなのか、わからないほどサラは馬鹿ではない。
仇を討たなければいけなかった。誰にどう急かされたわけではないけれども。自分はそれだけは忘れてはいけないと心に決めて、サラは八年間を生きてきたのだ。
それは幼い八歳の子供には重過ぎる鎖。憎むべき敵を消し去るまで決して諦めないという、復讐という名の修羅の道。
次に会ったら問答無用。たとえ姉でも即座に吹き飛ばそう───そんなことを考えていると、サラは見慣れた場所に出た。
殺風景より殺風景な外観。およそ生き物の気配とは無縁の、むしろ生き物という存在の観念の無い異空間。忘れ難い、というよりは忘れることのできない懐かしさがまだそこには有り、八年経った今も変わらない雰囲気と冷たさで、かつての支配者を待ち焦がれていた。
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