怒る者、楽しむ者

28/44
5261人が本棚に入れています
本棚に追加
/1244ページ
もう大分近くなってきていた地面へ、思い切りトリスタンの身体を蹴り落とす。 真下ではなく、やや前方。 それは、切り落とした腕と本体とを遠ざけるためであり、間合いをとるためでもあった。 自由落下に加え、蹴りの勢い。 包帯まみれでやや細身の奴の肉体は、石の床を砕き、叩きつけられた。 石のつぶてが飛び散り、身体がめり込むのが見える。 私は、翼を一度大きくはためかせ、落下の勢いを相殺して着地した。 ヴァルナを拾い、しっかりと握りしめる。 そして黒不浄を鞘に納め、空いた腕を天にかざし。 その手のひらの先に、小さな火球を生成した。 この一撃で……終わりにしてみせる。
/1244ページ

最初のコメントを投稿しよう!