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三日間置いて、二か所に置いた盛り塩を比べて見た。
結果を見た時。
(やっぱり)
あたしはそう思わずにはいられなかった。
冷蔵庫の前に置いてあった盛り塩の方が、溶けるのが多少早いのだ。
(霊がいるから、塩が早く溶ける…)
それはあたしの予測だが、多分そういうものなのだろう。
それからしばらくして
「何故霊がいると、塩が溶けるのか」
と言うことは、プーが説明してくれることになる。
その話は、またいずれしようと思うが、今は他に迫った問題が浮上している。
盛り塩について、プーは最初
「五日くらいなら大丈夫だ」
と言っていたはずなのに、彼の最初の反応を考えると、予想外の出来事が起こったのだろう。
(冷蔵庫の霊が…強くなってるとか?)
でなければ、あたしとプーが二人して家を空けたことを、怒っているのかも知れない。
まさかそんなことは考えたくないが、帰宅した時に塩がすべて溶け切っていると言うのが、あのプーでも予想出来ない事態だったことは確かである。
ただそこにあると言うだけで、あの冷蔵庫の扉が急に開いたり、何か変な音がしたりというような非現実的なことが起こるわけではない。
だから、あたしの中では
(冷蔵庫の中に、何かがいるのかも知れない)
と言うことはあっても
(絶対にいる)
と確信を持って言うことは出来ずにいた。
言ったとしても誰も信じてくれないだろうし、証拠がない。
だが、目に見えて塩は溶けたのだ。確実にあの冷蔵庫の中には何かがいると、今は言える。
そしてそれは、プーの予想を裏切るほどの力を持っている。
何かがいると言う事実より、あたしはそっちの方が怖かった。
(プーでもどうにも出来なくなる時が、来るかも知れない)
その日が来たら、あたしはどうしたらいいのだろう。プーはどうなるのだろう。
そう言う意味で、あたしとプーはただの同居人ではなく、運命共同体なのかも知れなかった。
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